社内サイトには相談窓口が載っているのに、誰が読むのか、上司に連絡されるのかが分からず、送信をためらう。制度があることと、利用の見通しが持てることは別です。

この記事の要点

  • 制度の存在と、自分が利用できる手順を把握していることは別です。
  • 相談担当者・情報の共有範囲・匿名の範囲・進め方・返答の目安を確認します。
  • 案内と実際の説明は、日時とともに並べて残せます。
目次(7項目)
  1. 企業の回答と労働者の回答は、同じ職場の答え合わせではない
  2. 受付前に確認したい5項目
  3. 案内と実際の説明を、二つに分けて記録する
  4. 返答がないときも、確認した範囲を残す
  5. 社内の窓口だけで進めにくい場合
  6. きろくねで、相談の前後を時系列に残す
  7. よくある質問

この記事では会社を点数付けするのではなく、実際に相談する前に確かめたい点を整理します。「相談しにくい」と感じる理由を具体的な質問にすると、窓口からの説明と自分の希望を照らし合わせやすくなります。

企業の回答と労働者の回答は、同じ職場の答え合わせではない

厚生労働省の令和5年度実態調査には、企業調査と労働者等調査があります。企業調査は従業員30人以上の企業・団体が対象で、有効回答は7,780件。一方、一般の労働者調査は20〜64歳の8,000人を対象とするインターネット調査です。回答者を勤務先の企業回答に一対一で結び付けた比較ではありません。

概要版27ページ・図表23では、労働者が勤務先のパワハラへの取組として相談窓口の設置を挙げた割合は23.2%でした。これは窓口を利用した割合でも、全国の企業の設置率でもありません。出典:厚生労働省・訂正版概要版4、27ページ

企業側の制度に関する回答と、労働者側の回答に違いがあっても、その差をそのまま「隠している会社の割合」と計算することはできません。対象、質問文、回答方法が違います。また、回答だけでは、ある窓口が自分にとって使いやすいかも分かりません。そこは実際の案内を確かめる必要があります。

受付前に確認したい5項目

次は編集部が作った質問の例です。すべての窓口で同じ運用があるという意味ではありません。分からない箇所を、相談を始める際に確認するために使ってください。

  1. 誰が受け付けるか:担当部署、担当者、社外委託先のどこに届くのか。相談の相手と担当者の関係が気になる場合、別の担当者への相談が可能か。
  2. 誰に共有されるか:相談内容を読む範囲と、上司・関係者への連絡を始めるタイミング。自分への確認がどの段階で行われるか。
  3. 匿名で何ができるか:制度の質問だけなら匿名でよいのか、個別の事実確認を進めるには氏名や所属が必要なのか。
  4. どのように進むか:最初の聞き取りの方法と、資料の提出先。今あるメモを説明に使えるか、事前に送る必要があるか。
  5. 次の連絡はいつか:受付の確認と回答の目安。回答が難しい場合、経過だけでも連絡があるか。

「秘密は守ります」という短い案内だけでは、誰も内容を見ないのか、対応に必要な担当者には共有されるのかが分かりません。言葉の印象で決めず、「このケースでは誰まで共有されますか」と具体的に尋ねる方が、確認した内容を残しやすくなります。

案内と実際の説明を、二つに分けて記録する

案内を読んだ時点と、受付で説明された時点を別に書きます。ページの文面を手元に残せる場合は、確認日もメモします。後で案内が変わったときに、どの説明を前提に相談を始めたのか振り返るためです。

架空の記入例:匿名相談の範囲を確認する

事前の案内:9月8日に社内サイトを確認。「匿名相談可」と記載されていた。個別の事実確認でも匿名のまま進められるかは、案内からは分からなかった。

受付の説明:9月10日に電話。「制度の質問は匿名で受け付ける。今回の出来事の事実確認には、氏名と所属を確認したい」と説明された。

自分の希望:今日は制度についての質問までにしたい。所属を伝えた後の共有先と、本人への確認手順を先に知りたい。

次の確認:共有範囲の説明をメールでもらえるか質問。回答予定日はまだ決まっていない。

この例だけでは、窓口が約束を破ったとは断定できません。「匿名相談」の意味や、手続きの段階が異なる可能性があるためです。評価を先に書くより、案内、説明、自分の希望、まだ不明な点を並べると、次の質問が明確になります。

返答がないときも、確認した範囲を残す

受付メールの日時、伝えられた回答の目安、その後に連絡した日時を記します。「調査していない」と推測するのではなく、「案内された日を過ぎたが、自分宛ての返答は確認できていない」と、分かっている範囲を記録します。

再度連絡する際には、「前回の相談の受付状況と、次の連絡の目安を確認したい」と短く書けます。相談の経緯が長くなる場合は、最初の内容を毎回書き直すより、前回から増えた出来事と確認事項を分けると読み返しやすくなります。

社内の窓口だけで進めにくい場合

厚生労働省の相談Q&Aは、社内の窓口に相談しにくい場合や、窓口が分からない場合に社外の相談機関も案内しています。相談の一般的な流れや、総合労働相談コーナーなどの案内はあかるい職場応援団で確認できます。

別の窓口で話す際には、出来事そのものに加えて、すでに誰へ何を相談し、どの説明を受けたかを伝えます。相談先ごとに役割や対応できる範囲が違うため、望んでいることも一緒に確認してください。

きろくねで、相談の前後を時系列に残す

きろくねでは、ケースにメモ・録音・写真を記録し、あとから時系列で見返せます。窓口の案内を確認した日、問い合わせた日、返答を受けた日ごとに、内容をメモに残す使い方ができます。「案内」「説明」「希望」はこの記事で提案する書き分けで、アプリの専用入力欄ではありません。

相談後に見返すときは、回答済みの質問と、まだ確認できていない質問を読み分けます。詳しい経過のまとめ方は社内に相談した内容の記録も参考にしてください。iPhone版きろくねで相談の前後を記録することから始められます。

きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。

よくある質問

匿名相談可なら、ずっと名前を伝えずに進められますか?
窓口や手続きの段階によって異なります。制度の質問と個別の事実確認で扱いが違うこともあるため、どこまで匿名で利用でき、氏名が必要になった場合は誰に共有されるのかを確認してください。
窓口から返信がないことも記録してよいですか?
はい。問い合わせた日時、案内された返答の目安、最後に確認した日時を残します。社内で対応が進んでいないと決めつけず、自分が確認できた連絡状況として書きます。
メモがそろうまで相談を待った方がよいですか?
記録の完成を待つ必要はありません。今分かっていることと未確認のことを分けて伝え、必要な情報や相談の進め方を窓口で確認できます。

出典・参考

ハラスメント相談窓口があっても相談しにくい|受付前に確認したい5項目のイメージ

きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。