つらい出来事の直後は、文章をきれいにまとめる余裕がないこともあります。それでも、相談のための記録は長文である必要はありません。あとから自分や相談相手が順番を追えるように、同じ項目を短く残しておくと役立ちます。
この記事の要点
- 出来事ごとに日時・場所・言動・影響を短く残します。
- 写真・音声・メモは確認できる範囲が異なるため、元データと自分の説明を分けます。
- 同じケースにまとめ、共通の目印と関連する理由を本人メモに添えます。
目次(10項目)
結論:出来事ごとに「いつ・どこで・何があったか」を一行ずつ積み上げる

職場のハラスメントについて、厚生労働省の案内では、いつ・どこで・誰が・何をしたかなどを記録することを勧めています。メモは、相手を評価する文章ではなく、起きたことをたどるための下書きと考えると始めやすくなります。
まずはこの形で書く
以下は説明のための架空例です。次の形をコピーして、1件につき数行だけ書いてみてください。正確な時刻が分からなければ「午前中」「会議のあと」のような表現でも構いません。
- 日時:2026年8月12日、15時ごろ
- 場面:週次会議の終了後、会議室で
- 相手・周囲:上司A、同僚BとCが同席
- 言動:「この程度もできないのか」と大きな声で言われた
- 手元の資料:会議招集メール、直後に送られたチャット
- 自分への影響:帰宅後も眠れず、翌朝に欠勤した
引用符の中には、覚えている言葉をできるだけそのまま残します。思い出せない部分を無理に補わず、「正確な文言は不明」と書いておくほうが、後から見返したときに混乱しにくくなります。
事実と気持ちを分ける理由
「怖かった」「悔しかった」「辞めたいと思った」という記録は、自分の状態を振り返るうえで大切です。一方で、相談相手に起きたことを伝えるときは、発言・行動・日時・場所といった事実も並んでいると、事情をつかみやすくなります。
別の架空例では、事実:会議室で、上司から「役に立たない」と言われた。、受け止め:同僚の前で言われて強く萎縮し、その後の会議で発言できなかった。のように、二つを分けて書けます。どちらかを削るのではなく、役割を分けるイメージです。
録音・メール・チャットは「出来事の番号」とつなげる
資料が増えると、何がどの出来事のものか分からなくなりがちです。時系列メモに「No.12」などの番号をつけて、録音やメールを説明するメモにも同じ番号を添えると探しやすくなります。元のファイル名を変更する必要はありません。元データは編集せずに保管し、相談で見せる必要があるときはコピーや画面表示を使う方法もあります。
資料がなくても、出来事の直後に残したメモには意味があります。資料を無理に増やすことより、すでにあるものと出来事を結び付けることから始めましょう。
続けるための小さな工夫
- 毎日ではなく、出来事があった日だけ書く
- その場で書けなければ、帰宅後や翌朝に思い出せる範囲で書く
- 一度書いた内容を大きく書き換えず、補足は日付を付けて追記する
- つらくなったら記録を閉じ、休む・信頼できる人や相談先に話すことを優先する
記録は「提出するための書類」ではなく、まず自分が状況を見失わないためのものです。きろくねでは、出来事を日時順に残して後から見返せます。書き出した記録を使うかどうかは、相談の状況に合わせてあとから選べます。
相談することになったら
時系列メモを全部見せる必要はありません。代表的な出来事と、困っていることを先に伝え、必要に応じて資料を示します。総合労働相談コーナーなどでは、パワハラを含む労働問題の相談を受け付けています。メモが途中でも、相談を始めることはできます。
写真・音声・メモが同じ出来事にあるとき
資料は一つのファイルに結合しなくても、同じケースにまとめ、何との関係があるかをメモすれば見返せます。同じ日に作ったことだけで関連を決めず、「この会議の資料」「会議のあとで書いた自分のメモ」のように関係を書きます。
たとえば「11月12日の担当変更の説明」という架空の出来事に、三つの記録があるとします。役割と限界はそれぞれ異なります。
- 資料の写真:写っている担当表の内容を確認できる。ただし、写真だけでは、その場で誰が何と発言したかは分からない。
- 会議中の音声:保存された範囲の言葉や声を聞き返せる。ただし、録音開始前の説明や画面に出ていた資料までは含まれない。
- 会議後のメモ:自分が覚えている説明、戸惑い、仕事への影響を残せる。ただし、後から書いた記憶であることを区別する。
「写真も音声もあるからすべて一致する」と考えず、資料ごとに分かる範囲を見ます。写真の担当表と音声の説明が食い違っていれば、その違いを残します。自分のメモに合わせて写真の文字や録音を直すことはしません。
一つの関係メモを置く
同じ架空例なら、次のように記せます。
- 出来事の目印:11月12日・担当変更の説明。
- 写真:会議で配られた担当表を終了後に撮影。自分が閲覧できる資料。
- 音声:会議の途中からの録音。担当の説明は開始2分ごろ。
- 本人メモ:同日夜に作成。引き継ぎの期限が分からず困っている。
- 未確認:担当表の改訂日。写真では読めないため、正確な日付は不明。
ここで付ける目印は、整理のための名前です。写真の撮影日時、録音した日時、メモを入力した日時をすべて同じに変更する意味ではありません。後日追加した資料なら、「11月14日に確認して追加」と、出来事の日との違いを説明します。
きろくねで別々の記録を同じケースへまとめる
きろくねでは、音声・写真・メモをケースごとのタイムラインに表示できます。記録詳細の「編集」でまとめ先ケースを選び、本人メモに共通の目印や関連資料の説明を追記できます。未整理で残した記録も、あとからケースを選べます。
これは、資料を同じ場所から探せるようにする整理です。三つの記録を自動で一件へ統合したり、関連を自動判定したりする案内ではありません。自分で短いタイトルをそろえる場合も、元の写真や音声はそのままにします。無料版は1ケースまで利用でき、ケース数の上限解除はきろくねプラスの機能です。
相談時は関係メモを入口にし、必要な資料だけを順に見ます。伝える内容を絞る方法は相談用の1ページまとめに、画像の日付の確認はスクリーンショットとTXTの使い分けにまとめています。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 毎日記録しないと意味がありませんか?
毎日でなくても構いません。出来事があった日や、思い出したタイミングから始められます。続けることが負担になるときは、短い項目だけ残す方法もあります。
- 正確な発言を覚えていないときはどう書けばよいですか?
覚えている範囲を書き、あいまいな部分は「おおよそ」「正確な文言は不明」と区別してください。後から推測で埋めるより、その時点で分かることを残すほうが見返しやすくなります。
- 録音やメールをメモに貼り付けるべきですか?
必ずしも貼り付ける必要はありません。出来事の番号や日付を資料と対応づけ、元データは編集せずに保管しておくと、後から確認しやすくなります。
- メモを書くのもつらいときはどうすればよいですか?
記録を中断して大丈夫です。睡眠や食事、受診、信頼できる人や公的な相談先への連絡など、自分の状態を守ることを優先してください。
- 同じ日の写真と音声なら、一つの出来事としてまとめてよいですか?
日付だけでは関係は分かりません。「この会議の資料」「終了後の本人メモ」など何との関係かを確認して書き、別の出来事なら区別します。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。