つらい出来事の直後は、文章をきれいにまとめる余裕がないこともあります。それでも、相談のための記録は長文である必要はありません。あとから自分や相談相手が順番を追えるように、同じ項目を短く残しておくと役立ちます。
この記事の要点
- 1件につき、日時・場面・言動・相手・周囲の人を短く残します
- 発言や行動という事実と、自分の気持ち・体調への影響を分けて書きます
- 録音やメールがあるときは、本文に貼り込まず出来事と対応づけます
- 毎日書けなくても、思い出したときから時系列を始められます
目次(7項目)
結論:出来事ごとに「いつ・どこで・何があったか」を一行ずつ積み上げる

職場のハラスメントについて相談する際、厚生労働省の案内では、日時、場所、言われたことや強要されたこと、相手、見ていた人などを整理しておくことが勧められています。メモは、相手を評価する文章ではなく、起きたことをたどるための下書きと考えると始めやすくなります。
まずはこの形で書く
次の形をコピーして、1件につき数行だけ書いてみてください。正確な時刻が分からなければ「午前中」「会議のあと」のような表現でも構いません。
- 日時:2026年8月12日、15時ごろ
- 場面:週次会議の終了後、会議室で
- 相手・周囲:上司A、同僚BとCが同席
- 言動:「この程度もできないのか」と大きな声で言われた
- 手元の資料:会議招集メール、直後に送られたチャット
- 自分への影響:帰宅後も眠れず、翌朝に欠勤した
引用符の中には、覚えている言葉をできるだけそのまま残します。思い出せない部分を無理に補わず、「正確な文言は不明」と書いておくほうが、後から見返したときに混乱しにくくなります。
事実と気持ちを分ける理由
「怖かった」「悔しかった」「辞めたいと思った」という記録は、自分の状態を振り返るうえで大切です。一方で、相談相手に起きたことを伝えるときは、発言・行動・日時・場所といった事実も並んでいると、事情をつかみやすくなります。
たとえば、事実:会議室で、上司から「役に立たない」と言われた。、受け止め:同僚の前で言われて強く萎縮し、その後の会議で発言できなかった。のように、二つを分けて書けます。どちらかを削るのではなく、役割を分けるイメージです。
録音・メール・チャットは「出来事の番号」とつなげる
資料が増えると、何がどの出来事のものか分からなくなりがちです。時系列メモに「No.12」などの番号をつけて、録音やメールにも同じ番号を付けると探しやすくなります。元データは編集せずに保管し、相談で見せる必要があるときはコピーや画面表示を使う方法もあります。
資料がなくても、出来事の直後に残したメモには意味があります。資料を無理に増やすことより、すでにあるものと出来事を結び付けることから始めましょう。
続けるための小さな工夫
- 毎日ではなく、出来事があった日だけ書く
- その場で書けなければ、帰宅後や翌朝に思い出せる範囲で書く
- 一度書いた内容を大きく書き換えず、補足は日付を付けて追記する
- つらくなったら記録を閉じ、休む・信頼できる人や相談先に話すことを優先する
記録は「提出するための書類」ではなく、まず自分が状況を見失わないためのものです。きろくねでは、出来事を日時順に残して後から見返せます。書き出した記録を使うかどうかは、相談の状況に合わせてあとから選べます。
相談することになったら
時系列メモを全部見せる必要はありません。代表的な出来事と、困っていることを先に伝え、必要に応じて資料を示します。総合労働相談コーナーなどでは、パワハラを含む労働問題の相談を受け付けています。メモが途中でも、相談を始めることはできます。
よくある質問
- 毎日記録しないと意味がありませんか?
毎日でなくても構いません。出来事があった日や、思い出したタイミングから始められます。続けることが負担になるときは、短い項目だけ残す方法もあります。
- 正確な発言を覚えていないときはどう書けばよいですか?
覚えている範囲を書き、あいまいな部分は「おおよそ」「正確な文言は不明」と区別してください。後から推測で埋めるより、その時点で分かることを残すほうが見返しやすくなります。
- 録音やメールをメモに貼り付けるべきですか?
必ずしも貼り付ける必要はありません。出来事の番号や日付を資料と対応づけ、元データは編集せずに保管しておくと、後から確認しやすくなります。
- メモを書くのもつらいときはどうすればよいですか?
記録を中断して大丈夫です。睡眠や食事、受診、信頼できる人や公的な相談先への連絡など、自分の状態を守ることを優先してください。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。