「あの日に書いておけばよかった」と感じても、当時のメモがないことだけで状況の整理を諦める必要はありません。ただし、今日思い出した内容を、当日に書いた記録のように見せないことが大切です。
この記事の要点
- 当日に書けなかった出来事も、思い出せる範囲で整理できます
- 出来事が起きた日と、思い出して書いた日を分けます
- 確認できたこと・記憶・不明なことを混ぜず、訂正は理由と日付を添えます
- 記録の完成を待たずに相談でき、証拠としての評価は個別に異なります
目次(6項目)
後から書くときは、二つの日付を残す
出来事の日時と、メモを作成した日時を別に残しましょう。たとえば「出来事は8月下旬の会議後。9月9日に記憶をもとに作成」と書けば、どの時点の記憶なのかを自分でも確認できます。これは相談準備のための書き方の提案で、法的な証拠力を保証する方法ではありません。
厚生労働省は、ハラスメントと思われる行為について、日時・場所・言動などを記録するよう案内しています。当日の記録がない場合は、まず今分かることを整理する入口として使ってください。
日付が曖昧なときの記入例
以下は説明のための架空例です。実在の相談事例ではありません。
- 出来事:8月下旬、月末の進捗会議の後。正確な日は不明。
- 記録した日:9月9日。
- 覚えていること:会議室に残るよう言われ、資料の作り直しを求められた。
- 言葉の記憶:他の人なら終わる、という趣旨の発言。正確な文言は覚えていない。
- 確かめられた資料:8月27日の会議招集メール。ただし、この日が出来事の日かは未確認。
- 自分への影響:その後の会議で質問をためらうようになった。
予定表に会議があるだけでは、そこで特定の発言があったと確認できるわけではありません。「日付の候補を絞る資料」と「発言そのものが残った資料」を分けて考えます。
思い出した順番から、確認できる順番へ
- まず一つの出来事を短く書く。最初から一か月分を完成させようとしない。
- 自分が閲覧できる予定、メール、当時のメモと照合する。
- 資料から確認した情報には「メールで確認」など確認元を添える。
- 記憶と資料が合わない箇所は、どちらかに無理に合わせず未確認として残す。
他の人から聞いた内容は「同僚から後日聞いた」と書き、自分がその場で見聞きしたことと区別します。思い出す作業が苦しいときは、途中で閉じてかまいません。
訂正は、以前の内容と変更理由が分かる形にする
日付を思い違いしていたら、誤りを隠す必要はありません。「9月10日追記:当時のメールを確認し、候補日を8月27日から28日に訂正。発言の日時は引き続き未確認」のように、何を根拠に直したかを残します。元の資料の日時や文面を書き換えて、メモに合わせることは避けます。
きろくねで、出来事の日時と記録した日時を見返す
きろくねの記録詳細では「出来事の日時」と「記録した日時」を別に確認できます。メモには「後から思い出して記入」「日付は目安」と書き、確認した資料や不明な点を続けて残せます。日付入力欄に目安の日を入れた場合も、正確な日時と誤解しないよう本文に補足してください。
記録した内容はケースごとに時系列で見返せます。iPhone版きろくねで、まず一件を短く残すところから始められます。自動で過去の出来事を復元する機能ではなく、自分が入力した記録を整理する道具です。
今後の記録を続ける形は時系列メモの書き方、相談用に絞る形は1ページまとめで紹介しています。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 何か月も前の出来事を書いてもよいですか?
思い出せる範囲で書けます。作成日、記憶が曖昧な箇所、後から確認した資料を分けて記してください。法的な評価や手続の期限が気になる場合は、記録を完成させる前に専門の相談先へ確認しましょう。
- 覚えていない言葉を自然な会話に補ってもよいですか?
補わず、「おおよそこの趣旨」「正確な言葉は不明」と残します。引用符は、覚えている文言や原文を示すために使い、推測と混ぜないようにします。
- きろくねに保存すると当日の記録になりますか?
なりません。後から入力した内容は、後から作成した記録です。記録した日時と出来事の日時を区別し、保存だけで当日の事実や証拠力が証明されると考えないでください。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。