パワハラについて誰かに相談しようと思っても、「証拠が足りないかもしれない」「何から話せばよいか分からない」と手が止まることがあります。相談の前に、すべてを完璧にそろえる必要はありません。まずは、起きたことを自分が説明しやすい順番に整理しておくと、相談先で状況を伝えやすくなります。
この記事の要点
- 相談前に、完璧な証拠をそろえる必要はありません
- 日時・場所・言動・相手・目撃者を、出来事ごとに時系列で並べます
- 録音・メール・チャットは原本を残し、相談には必要に応じてコピーを持参します
- 社内が不安なときは、総合労働相談コーナーなど社外の窓口も選べます
目次(6項目)
結論:出来事を時系列にして、事実と手元の資料を分けておく

厚生労働省の職場ハラスメント相談の案内でも、相談時には日時、場所、言われたことや強要されたこと、相手、見ていた人などを整理して持参するとよいとされています。最初から法律上の評価を自分で決める必要はありません。「いつ、どこで、何があったか」を、分かる範囲で残すことから始めましょう。
時系列メモに入れる6つの項目
1件ごとに短く、同じ順番で書くと後から見返しやすくなります。事実と、そのとき感じたことは分けて書くのがおすすめです。
項目 | 書く内容の例 |
|---|---|
日時 | 2026年8月12日 15時ごろ。正確でなければ「午後の会議後」でも構いません。 |
場所・場面 | 会議室、オンライン会議、休憩室など。何の業務中だったかも添えます。 |
相手と周囲の人 | 発言・行動をした人、同席者、あとで相談した人を分けて書きます。 |
言動・行動 | 「役に立たない」と言われた、資料を机に投げられた、など、できるだけそのまま書きます。 |
手元の資料 | 録音、メール、チャット、会議招集、勤怠記録など、あるものだけを書きます。 |
その後の影響 | 眠れなかった、欠勤した、受診した、業務に支障が出た、などを別に記します。 |
「相手は私を辞めさせようとしている」のような推測を書いてはいけないわけではありません。ただし、相談で伝えるためのメモでは、発言や行動という事実と、自分の受け止めを分けておくと、読み手にも状況が伝わりやすくなります。
資料は原本を残し、相談用には必要な範囲をコピーする
録音、メール、チャット、写真などがあるときは、元のデータを編集したり、都合のよい部分だけを切り取ったりせずに残しておきます。相談先に見せる必要があるときは、原本ではなくコピーや画面表示を使う方法もあります。資料の内容そのものだけでなく、どの出来事に関するものかを時系列メモに対応づけておくと便利です。
無理に新しい資料を集めようとして負担や危険が増すなら、まず相談してから、次に残せるものを一緒に考える選択肢もあります。
相談で最初に伝える順番
- いちばん困っていること(例:同じ言動が続いていて出勤がつらい)
- 代表的な出来事を、古い順または新しい順に数件
- 手元にある資料と、受診・欠勤などの影響
- 相談先に望むこと(話を聞いてほしい、社内での対応を知りたい、外部窓口を知りたい、など)
総合労働相談コーナーは、パワハラを含む幅広い労働問題を対象に、電話または面談で相談を受け付けています。社内に相談すると不利益がありそうで不安な場合にも、社外の選択肢として情報を得ることができます。窓口の受付状況は、利用前に公式案内で確認してください。
「足りないもの」より「今あるもの」から始める
録音がない、日付があいまい、1回しかメモできていない、という状態でも相談はできます。相談先で事情を伝えると、次に確認したほうがよい点が見えてくることがあります。心身の不調があるときは、受診や休養を優先することも大切です。
きろくねでは、出来事を日時つきで残して時系列に見返せます。文章を整えることより、まずは「いつ・何があったか」を残しておき、相談するかどうかはあとから決めてもかまいません。
よくある質問
- 証拠がそろっていなくても相談できますか?
相談前に完璧な資料をそろえる必要はありません。分かる範囲で、日時・場所・言動・相手をメモにして持参すると、相談員に状況を伝えやすくなります。次に何を確認すればよいかは、相談の中で整理できることがあります。
- メモは感情を書いてもよいですか?
書いてかまいません。後から自分の状態を振り返る手がかりになります。相談用には、発言や行動などの事実と、自分がどう感じたか・どんな影響があったかを分けると、より伝わりやすくなります。
- 社内に相談しにくいときはどうすればよいですか?
社外の総合労働相談コーナーなどに相談先を尋ねる方法があります。会社に連絡する前に、利用できる制度や相談の進め方について情報を集めることもできます。
- 受診したことも記録してよいですか?
受診日や、仕事への影響を自分のメモに残すことは状況の整理に役立ちます。診療内容や診断書の扱いについては、必要に応じて医療機関や相談先に確認してください。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。