「パワハラがつらくて辞める人は、どのくらいいるのだろう」。退職を考え始めたとき、自分だけなのかを確かめたくなるかもしれません。数字を見るときは、何人を対象に、何を質問した結果なのかまで一緒に確認する必要があります。
この記事の要点
- 令和5年度調査では、パワハラ経験者の14.9%が受けた後の行動として退職を回答しました
- 分母は経験を回答した1,546人で、日本全体の退職者数ではありません
- 退職後に転職・再就職した人が含まれ、調査時に無業の人は対象外です
- 統計の割合と自分の判断を分け、迷っている経緯はきろくねのメモに残せます
目次(6項目)
14.9%は、全国の退職者数を示す数字ではない
厚生労働省の令和5年度「職場のハラスメントに関する実態調査」では、パワハラを受けたと回答した1,546人のうち、受けた後の行動として「会社を退職した」を選んだ割合は14.9%でした。複数回答の設問です。出典は概要版24ページの図表19で、この記事では2025年8月の訂正後に掲載された版を確認しています。
調査の一般サンプルは、2024年1月に全国の企業・団体で働く20~64歳の8,000人へ行ったインターネット調査です。経営者・役員・公務員などは対象から除かれています。過去3年間の経験を尋ねた調査であり、2026年の一年間に退職した人数を数えたものではありません。
見落としたくない「現在無業の人は対象外」という注記
図表19には、退職した回答者はその後に転職・再就職した人であり、現在無業の人は調査対象外という注記があります。したがって、14.9%を日本の全労働者数に掛けても、全国のパワハラ退職者数は求められません。この記事で確認した調査から、全国の総人数を確定することはできません。
また、「経験後に退職という行動を選んだ」という回答と、「退職理由がパワハラだけだった」という判断も区別します。短い見出しにする場合でも、この違いを省かないことが大切です。
退職の数字を読むときの三つの質問
- 分母は誰か:すべての働く人か、経験者か、特定の窓口に相談した人か。
- 単位は何か:人数か、割合か、延べ相談件数か。
- 期間はいつか:一年間の集計か、過去数年の経験か、調査時点での状況か。
たとえば「相談が多い」と分かっても、それだけでは退職した人数は分かりません。違う調査の割合を掛け合わせ、もっともらしい人数にすることも避けます。
統計を、自分が辞めるべきかどうかの判定にしない
他の人が辞めた割合は、あなたが耐える必要があるかを決める基準ではありません。記録するときは、「辞めるべき理由」を作ろうとせず、仕事で起きたこと、日常への影響、相談した内容、自分が迷っている点を分けて残します。
次は架空の記入例です。「9月3日:会議での言葉が気になり、翌朝の出勤がつらかった。退職は未決定。休む方法と、担当を変えてもらえるかを相談したい」。このように、結論が出ていない状態も記録できます。
きろくねで、退職を考えるまでの経緯を残す
きろくねでは、出来事のメモや自分で記録した音声・写真をケースごとにまとめ、タイムラインで見返せます。「何があった日」「相談した日」「気持ちが変わった日」を別のメモにすると、一つの強い印象だけで過去全体を説明せずに済みます。
まず一件を残したい方はiPhone版きろくねへ。相談前の項目は相談準備のガイド、外部の窓口は相談先の使い分けで確認できます。退職や給付の個別条件は、専門の相談先へ確認してください。
出典確認日:2026年9月9日。記事中の14.9%は令和5年度調査の値です。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 14.9%はすべての労働者の退職率ですか?
いいえ。令和5年度調査でパワハラ経験を回答した1,546人を対象とする、受けた後の行動の割合です。調査時に無業の人も含まれていません。
- 全国では年間何人が辞めていますか?
この記事で確認した実態調査から、全国の年間退職者数は確定できません。調査対象・期間・退職理由が異なる数字を掛け合わせて推計することはしていません。
- 退職を決めていなくても記録してよいですか?
もちろんです。起きたこと、困っていること、相談したいことを分けて残せます。記録の目的を、退職という結論に合わせる必要はありません。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。