怒鳴られたような大きな出来事はない。けれど、締切が急に早まる、会議に呼ばれなくなる、担当が変わる。一つずつは説明しにくい変化が続くとき、出来事があった日だけのメモでは流れがつかみにくくなります。
この記事の要点
- 出来事がある日だけでなく、何もなかった日も一行残すと、指示や担当の「変化」が見えてきます。
- 日誌の欄は、日付・勤務時間・指示と変更・言われたこと・自分の対応・体調・関連する資料。気持ちは別欄に分けます。
- 会社に出す業務日誌(日報)とは分け、自分の整理用として手元に持ちます。
- 日誌だけでハラスメントかどうかが決まるわけではなく、判断は相談先が個別の事情をもとに行います。
そんなときに使えるのが、毎日同じ欄を埋める「業務日誌」の形です。この記事では、そのまま写せるテンプレートと、架空の1週間の記入例を紹介します。
結論:何もなかった日も一行残すと、変化が見える
職場のことのまとめにある記録テンプレートは、一つの出来事を詳しく残すための形です。日誌の形はそれとは役割が違い、毎日同じ欄を短く埋めて、日ごとの違いを並べます。
何もなかった日に「特になし」と書いておくと、何かがあった日との差がはっきりします。厚生労働省は、言動が業務上必要かつ相当な範囲を超えたものかどうかを判断するときには、言動の態様・頻度・継続性などのさまざまな要素を総合的に考慮することが適当だとしています。日誌は、その頻度や続き方を後から確かめる手がかりになります。厚生労働省の「あかるい職場応援団」も、いつ・どこで・誰が・何をしたのかを記録しておくよう案内しています。ただし、日誌があることでハラスメントかどうかが決まるわけではありません。
そのまま写せる業務日誌のテンプレート
次の欄をノートやメモアプリに写して使えます。1日3分を目安に、埋められる欄だけで構いません。
欄 | 書くこと |
|---|---|
日付・曜日 | 何もなかった日も、日付だけは書く |
勤務時間 | 始業・終業・休憩のおおよそ。時間外に届いた連絡があれば、その時刻も |
今日の指示・変更 | 誰から、何を、いつまでに。前日からの変更、担当や会議の増減 |
言われたこと | 覚えている言い方のまま。なければ「特になし」 |
自分の対応 | 返答したこと、確認したこと、相談したこと |
体調 | 睡眠・食事・出勤前の様子などを一言 |
気持ち(別欄) | 事実の欄とは分けて。書かない日があってもよい |
関連する資料 | メール・チャット・録音などの置き場所。確かめていないことは「未確認」 |
一行で書くなら、「9/14(月)|勤務 9:00〜18:30|指示:〇〇|言われたこと:特になし|対応:〇〇|体調:普通|気持ち:〇〇」の形でも十分です。
架空の1週間の記入例
編集部が作った架空の例です。実在の出来事・人物ではありません。
- 9月14日(月)勤務 9:00〜18:30。指示:課長からA案件の資料を金曜までに。言われたこと:特になし。対応:着手。体調:普通。
- 9月15日(火)勤務 9:00〜21:10。指示:朝のチャットで課長から、資料の締切が水曜に前倒し。言われたこと:席で「なんでまだできていないの」(同僚2人が近くにいた。聞こえていたかは未確認)。対応:前倒しの理由を尋ねたが返答なし。体調:夕食をとれなかった。気持ち:焦り。
- 9月16日(水)勤務 8:30〜20:00。指示:資料を提出したが差し戻し。言われたこと:「全部だめ」。具体的な指摘はなし。対応:直す箇所をメールで質問(16時ごろ送信)。体調:頭痛。
- 9月17日(木)勤務 9:00〜18:00。指示:なし。週次会議の案内が届かず、終わったことを同僚から聞いた。言われたこと:特になし。対応:参加対象かを課長に確認し、「今週はいい」と返答。体調:普通。気持ち:置いていかれた感じ。
- 9月18日(金)勤務 9:00〜18:30。指示:朝会で、A案件の担当を別の人に変えると伝えられた。理由の説明はなし。言われたこと:特になし。対応:理由を聞くか迷い、聞けなかった。体調:眠りが浅い日が3日続いている。
- 9月19日(土)・20日(日)休み。土曜22時ごろ、業務チャットに連絡が1件(返信は月曜に)。体調:日曜の夜、寝つけなかった。
月曜に「特になし」があるから、火曜以降の締切の前倒し、差し戻し、会議の案内、担当の変更が一続きの変化として読めます。一方で、相手の意図や理由は書いていません。分からないことは「未確認」「説明はなし」とそのまま残しています。
続けるためのコツ
- 書く時間を決める。終業直後や帰りの電車など、毎日同じ場面で3分だけ書きます。
- 会社の業務日誌(日報)とは分ける。会社に出す日報は、上司などが読む会社の書類です。自分の整理用の日誌は別に持ち、顧客情報や社外秘の内容は書き写しません。
- 書けなかった日は空けたままでよい。後から書くときは「9/15分を9/16の朝に記入」のように、書いた日を添えます。考え方は後から書くときの整理にあります。
- 特別な出来事は、別に詳しく残す。日誌には一行だけ書き、詳しいことは出来事ごとのメモに残します。項目はハラスメントに共通する5項目が参考になります。
無視や仕事外しのように「なくなったこと」を残す書き方は、職場で無視される・仕事を外されるときの記録にまとめています。
無料のテキスト版と、きろくねで続ける方法
アプリを使わない場合は、無料の記録テンプレートのテキスト版(TXTを保存)を使えます。もともと出来事ごとの形なので、日誌として使うときは「勤務時間」「今日の指示・変更」「体調」の欄を書き足してください。登録は要りません。
きろくねでは、1日1件のメモとして残すと、ケースの中で日付順に並びます。メモには「何があったか」と「そのときの気持ち」を分けて書く欄があり、日誌の事実と気持ちをそのまま分けられます。「いつのこと」で出来事の日時を選べるので、翌朝に書いた日の分も正しい日付に置けます。
無料で作れるケースは1つで、記録の数に上限はありません。振り返りの通知は初期状態でオフで、「毎週決まった曜日・時刻」などを自分で選んだときだけ届き、いつでも止められます。記録は端末の中に保存され、アプリ独自のクラウド同期はありません(iPhoneのバックアップを有効にしている場合は、その中に含まれます)。
日誌が途中でも、相談は始められます。総合労働相談コーナーでは、パワハラを含む労働問題の相談を無料・予約不要で受け付けています。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 何もなかった日も書いた方がいいですか?
書ける日は、日付と「特になし」だけでも残しておくと、何かがあった日との違いが見えやすくなります。ただ、毎日書くことが負担になるなら、無理に続ける必要はありません。書ける日の分だけでも役に立ちます。
- 会社に出す業務日誌(日報)に書いてもいいですか?
会社の日報は上司などが読む会社の書類なので、自分の整理用の日誌とは分けることをおすすめします。自分の日誌には、顧客情報や社外秘の内容を書き写さないようにします。社内の相談窓口に伝えるかどうかは、日誌とは別に考えて構いません。
- 書き忘れた日があったら、どうすればいいですか?
空けたままで構いません。後から思い出して書くときは、出来事の日と書いた日を分けて残します。思い出せないところを推測で埋めず、「不明」と書いておく方が、後から読み返したときに混乱しません。
- 表計算ソフトで作ってもいいですか?
構いません。この記事の欄を列にすれば、そのまま日誌として使えます。会社のアカウントのクラウドや共有フォルダに置くと、ほかの人が見られる場合があるので、保存場所と共有の設定を確かめてください。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。