受けたことに名前をつけようとして、手が止まることがあります。パワハラなのか、モラハラなのか。けれど記録を始めるのに、種類が決まっている必要はありません。

この記事の要点

  • 種類が違っても、いつ・どこで・誰が・何を・自分への影響の5項目は共通して残せます。
  • 起きた日時と記録した日時を分け、覚えていない部分は「不明」と書き残します。
  • 家庭のことでは、端末を見られるおそれがあるときは記録より安全を先にします。
  • ハラスメントかどうかの判断は、原則として相談先や専門家が個別の事情をもとに行います。
目次(6項目)
  1. 種類が違っても、残す項目は同じ5つ
  2. 種類が見えてきたら、足すとよいこと
  3. 記録の形は、一つに絞らなくてよい
  4. 相談先に伝わりやすいのは、繰り返しと具体性
  5. きろくねで残すなら
  6. よくある質問

それがハラスメントに当たるかどうかの判断は、原則として相談先や専門家が、個別の事情を踏まえて行います。この記事では、種類を決める前に共通して残せる項目と、種類ごとに足すとよい視点を分けて整理します。

種類が違っても、残す項目は同じ5つ

後から読み返して意味が分かる記録には、だいたい同じ要素が入っています。

  • いつ:日付と、分かれば時刻。
  • どこで:場所、または使われた手段(対面・電話・チャットなど)。
  • 誰が:相手と、その場にいた人。
  • 何を:言われた言葉やされたことを、要約せず、できるだけ原話のまま。
  • 自分への影響:その後どうしたか、体調や仕事にどう響いたか。

加えて二つ。起きた日時と、記録した日時を分けて持つこと。数日後に書いた記録でも、いつ書いたかが分かれば、記憶との距離を隠さずに済みます。もう一つは、覚えていない部分に「不明」と書くこと。空欄より、確かめていないと分かる方が親切です。

この5項目は、ハラスメントかどうかを自分で判定するためのものではありません。何が起きたかを、他の人が読んでも分かる形にするための枠です。

種類が見えてきたら、足すとよいこと

厚生労働省は職場のハラスメントとして、セクハラ、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するもの、パワハラ、カスタマーハラスメントを挙げています。5項目に、思い当たるものがあれば次の視点を足します。

パワハラ

業務上の指示と、それを超えたと感じた部分を分けて書きます。「何をいつまでに」という指示の内容と、そのときの言い方や人前だったかどうかを、別の行に残します。定義はパワハラの3要素と相談するときの見方、並べ方は時系列メモの書き方にあります。

モラハラ・DV(家庭のこと)

家庭のことでは、記録より安全が先です。端末を相手に見られるおそれがあるときは、記録を急がないでください。安全を確かめられる状況になってから、安全を優先した記録の残し方メッセージを残す前の確認を読んでみてください。

セクハラ

場面・関係・自分の対応の三つを足します。どんな場だったか、相手とどういう関係か、そのとき自分がどう応じたか、あるいは応じられなかったか。断ったかどうかを書きにくいときは、書けないと感じたことを残しても構いません。対価型・環境型の違いも参考になります。

マタハラ

申し出たことと、職場の反応を分けます。いつ・誰に・何を伝えたか(妊娠の報告、時短の希望、育休の申出など)が一つ。それに対して誰が何と言い、業務や評価がどう変わったかがもう一つ。時期が飛びやすいので、日付を必ず添えます。申出と職場の反応を分ける書き方へ。

カスハラ

要求の内容と、自分の対応と、引き継ぎを残します。何を求められ、どこまで応じ、どこで上長や別の担当に渡したか。対応にかかった時間や繰り返しの回数も書いておきます。カスタマーハラスメントを記録に残すまでに一つの経過があります。

いじめ・嫌がらせ

上司からでなくても、同僚の間で起きたことも相談の対象になります。総合労働相談コーナーは、いじめ・嫌がらせやパワハラを含むあらゆる分野の労働問題を対象としています。複数の人が関わっていれば、それぞれ何をしたかを分けて書きます。件数の見方は相談件数の読み方にあります。

記録の形は、一つに絞らなくてよい

手書きのノートは、端末を見られる心配が少なく、すぐ書けます。日付がずれやすいので、書いた日を毎回入れます。スマートフォンのメモは検索しやすい反面、通知や共有の設定に気を配ります。

録音は言い方や間まで残りますが、扱いには前提があるので、秘密録音の有効性と残し方を先に読んでください。スクリーンショットは手軽な一方、前後が切れて意味が変わることがあります。チャットは書き出し(エクスポート)にすると流れごと残せます(メール・チャットの残し方トーク履歴の書き出し)。紙に書きたいときは、職場のことのまとめにある無料の記録テンプレート(項目の一覧)を、そのままノートに写して使えます。

架空の記入例

編集部が作った架空の記入例です。実在の出来事ではありません。

起きた日時:4月15日(火)午後、時刻は不明。/記録した日時:4月17日(木)夜。

どこで:事務所の入口近く。ほかに人がいたかは不明。

誰が:直属の上司。同じ課の一人が近くにいたが、聞こえていたかは未確認。

何を:書類を返されたとき、「これで何年目だ」という趣旨の言葉があった。正確な言い回しは覚えていない。

自分への影響:その後、書類を出すのが怖くなった。翌日は眠れず、朝の会議を欠席した。

覚えていない部分を「不明」「未確認」と書き分け、近くにいた人を「見ていた人」と決めつけていません。5項目はこの記事の整理で、指定の書式ではありません。

相談先に伝わりやすいのは、繰り返しと具体性

厚生労働省のパワハラの説明では、言動の態様・頻度・継続性なども総合的に考慮することが適当とされています。相談先に説明するときも、一度きりか続いているか、どこまで具体的に言えるかが手がかりになります。似た出来事が何度かあるなら、まとめて一行にせず、一件ずつ日付を付けて並べます。

記録が揃うまで相談を待つ必要はありません。総合労働相談コーナーは全国の労働局などに置かれ、無料・予約不要で相談できるとされています。職場のことは相談先の使い分け、家庭のことは安全を優先した相談先の選び方へ。配偶者暴力相談支援センターは、相談や相談機関の紹介、緊急時の安全の確保などにあたるとされています。

きろくねで残すなら

きろくねでは、ケースにメモ・録音・写真を入れて、時系列で見返せます。「起きた日時」と「記録した日時」を別に持てるので、後から書いた記録でも区別を残したまま並べられます。職場と家庭でモードを切り替えられます。

保存は端末の中で、iCloud同期や自動アップロードは行いません。Face IDやパスコードでロックでき、アプリを切り替えたときは内容が隠れます。ただし、端末内の保存だけで、ほかの人に見られないと保証されるわけではありません。

この記事の5項目は、アプリの専用フォームではありません。書き方の提案なので、順番も言葉も自由に変えて構いません。

iPhone版きろくねで、今日の一件を残す

きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。

よくある質問

ハラスメントの種類が分からなくても記録していいですか?

はい。いつ・どこで・誰が・何を・自分への影響の5項目は、種類が決まらなくても残せます。名前をつける判断は、原則として相談先や専門家が個別の事情をもとに行います。まず一件だけ残しても構いません。

相手の言葉を正確に覚えていません。記録する意味はありますか?

覚えている範囲で構いません。正確でない部分は「このような趣旨だった」と添え、覚えていないところは「不明」と書きます。埋めようとして補った言葉が混ざる方が、後から事実と分けにくくなります。

家庭のことも、職場と同じように記録してよいですか?

項目は同じですが、順番が違います。家庭のことでは記録より安全が先です。端末を相手に見られるおそれがあるときは記録を急がず、安全を確かめられる方法から考えてください。迷うときは相談先に聞いてください。

記録が揃ってから相談した方がよいですか?

揃うまで待つ必要はありません。総合労働相談コーナーは無料・予約不要で、面談または電話で相談できるとされています。今ある分で連絡し、何をどこまで伝えればよいかを確かめる方が、結果として整理が進むこともあります。

出典・参考

ハラスメントの記録の残し方|パワハラ・モラハラ・セクハラに共通する5項目のイメージ

きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。