家庭の中で否定する言葉、監視、怒鳴り声、生活を制限するような言動が続くと、誰に話せばよいのか分からなくなることがあります。最初に大切なのは、相談しようとすること自体が自分にとって安全かどうかです。相手に端末や連絡履歴を見られる心配があるなら、記録や検索を増やす前に、安全に相談できる方法を考えてください。この記事では、内閣府と法テラスの公式案内をもとに、相談先ごとの役割と、端末を家族と共有しているときの注意を整理します。

この記事の要点

  • 相談先を探す前に、相手に連絡や記録を見られる危険がないかを考えます
  • 内閣府は、大声でどなる、生活費を渡さないといった「精神的なもの」も、相談の対象となり得る暴力の形として挙げています
  • DV相談ナビ #8008 は地域の配偶者暴力相談支援センターに、DV相談+は24時間の電話と、12時〜22時のチャットで相談を受けています
  • 法テラスのDV等被害者法律相談援助は資力に関わらず利用でき、資産が一定の基準以下なら相談は無料です
  • アプリのロックや画面を隠す設定は、偶然目に入る可能性を減らす備えで、安全を保証するものではありません
目次(7項目)
  1. 結論:名称より、今ある不安と安全を相談する
  2. 今すぐ危険を感じるとき
  3. 相談先ごとの役割
  4. 状況に合わせて選ぶ
  5. 端末を家族と共有しているとき
  6. 相談前に残せること、残さなくてよいこと
  7. よくある質問

結論:名称より、今ある不安と安全を相談する

相談先を選ぶ前に、伝えることを手元で整理するイメージ
相談先を選ぶ前に、伝えることを手元で整理するイメージ

「モラハラ」という言葉が自分の状況に当てはまるか、ひとりで決めなくて大丈夫です。内閣府は、配偶者からの暴力の形として、殴る・蹴るといった身体的なものだけでなく、心ない言動で相手の心を傷つける「精神的なもの」を挙げています。例として示されているのは、大声でどなる、「誰のおかげで生活できるんだ」などと言う、実家や友人とのつきあいを制限したり電話や手紙を細かくチェックしたりする、何を言っても無視して口をきかない、生活費を渡さない、といった行為です。

内閣府は、こうした例は相談の対象となり得るものを記載したもので、すべてが配偶者暴力防止法の「配偶者からの暴力」に当たるとは限らない、とも添えています。法律上どう扱われるかが分からなくても、相談してよい内容に含まれ得るということです。いつ、どこで、どんな言葉や行動があったか。いま相手に知られると危ないことがあるか。家から出られるか、頼れる人がいるか。分かる範囲で伝えます。

今すぐ危険を感じるとき

けがをしている、逃げ場がない、今いる場所にとどまることが危険だと感じるときは、記録の整理を続けずに緊急の助けを求めてください。DV相談+の案内でも、今すぐ警察官に駆けつけてもらいたいような緊急の場合は110番に通報するよう書かれています。けがや体調の急変があるときは119番も選択肢です。

相談先ごとの役割

次の表は、内閣府・DV相談+・法テラスの公式案内(2026年9月時点)で確かめた内容です。受付時間や利用条件は変わることがあるため、連絡する前に記事末尾の出典で確認してください。

相談先

役割

連絡の方法

DV相談ナビ

どこに相談すればよいか分からないときの入口。最寄りの都道府県の配偶者暴力相談支援センターにつながる

全国共通の #8008 に電話。相談は各機関の受付時間内

配偶者暴力相談支援センター

相談や相談機関の紹介、カウンセリング、緊急時の安全の確保と一時保護、生活や保護命令制度についての情報提供など

都道府県・市町村の窓口。事前に電話してから行くことが勧められている

DV相談+(プラス)

専門の相談員が話を聞く。必要と判断された場合は、面接や同行支援、安全な居場所の提供も

電話 0120-279-889(24時間)、チャット(12時〜22時)、受付フォームの「プラス相談箱」(24時間受付)

警察

相談や被害の申告を受け、保護や検挙、ストーカー規制法に基づく警告などを行う

緊急のときは110番に通報

法テラス

DVを受けている人や受けるおそれがある人向けの、弁護士による法律相談(DV等被害者法律相談援助)

問い合わせは犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)

DV相談ナビは、一般の固定電話にかけたときと同じ通話料がかかり、一部の携帯電話会社やIP電話などからはつながらない場合があります。つながらないときは、都道府県や市町村の配偶者暴力相談支援センターへ直接電話できます。センターの一覧は、内閣府のページに地域別で載っています。

状況に合わせて選ぶ

  • どこが合うか分からない、まず話を聞いてほしい:DV相談ナビ(#8008)かDV相談+から始められます。
  • 声を出して電話するのが難しい:DV相談+のチャットや、受付フォームのプラス相談箱があります。プラス相談箱は、入力したメールアドレスにやり取りをするページのURLが届く仕組みで、相談員からの返信は1週間をめどとされています。
  • 家を出ることや一時保護、保護命令について知りたい:配偶者暴力相談支援センターで、安全の確保や制度の情報を相談できます。
  • 離婚の手続きや損害賠償の請求など、法律のことを確かめたい:法テラスのDV等被害者法律相談援助では、再被害の防止に関わる内容なら、民事・刑事を問わず弁護士に相談できます。DVを受けている人や受けるおそれがある人なら、資力に関わらず利用できます。資産が一定の基準以下なら相談は無料で、電話やオンラインで相談できる場合もあります。

相談しても、すぐに別れる、家を出るといった結論を出す必要はありません。相談につながるまでの流れはDV・モラハラで迷ったときの5つの段階にまとめています。

端末を家族と共有しているとき

相手がスマートフォンを見る、パスコードを知っている、Apple Accountを共有している、といった状況では、検索やブラウザの閲覧履歴(この記事や相談先のサイトを見た記録も含みます)、通話の履歴、通知、メールから相談したことが知られるおそれがあります。相談の最初に「端末を見られる心配がある」と伝え、連絡してよい方法や時間を相談先と決めてください。返信をメールで受け取る窓口では、相手に見られないアドレスを使えるかも考えます。

きろくねには、設定の「開くときにFace ID/パスコードで確認」をオンにすると、アプリを開くときに確認を求め、アプリを切り替える画面では記録の内容を隠す機能があります。ただし、別のアプリに見せかけたりホーム画面から隠したりする隠しアプリではありません。ロックは端末のパスコードでも開けるため、相手がiPhoneのパスコードを知っていれば開けてしまいます。ホーム画面のウィジェットのほか、任意で設定する振り返りの通知(いつでも止められます)や、録音中にロック画面と Dynamic Island に出る「録音中」の表示からも、アプリを使っていることが分かります。これらは偶然目に入る可能性を減らすための備えで、安全を保証するものではありません。端末そのものに不安があるときは、使わないことも大切な選択です。考え方は同じ端末を家族が使うときの備えにもまとめています。

相談前に残せること、残さなくてよいこと

安全に残せるなら、日時、場所、言葉や行動、同席者、生活への影響を短くメモにします。すでに手元にあるメッセージや受診に関する書類だけで構いません。新しく集めることが危険なら、無理をしないでください。記録がないことも含めて、そのまま相談先に伝えられます。項目ごとの書き方はモラハラを相談するときの記録の残し方にあります。

端末を安全に使えると判断できるなら、きろくねで「家庭・パートナー」のケースを作り、メモや写真を日時順に並べておけます。記録は端末の中に保存されます。アカウント登録は不要で、記録が自動でクラウドに同期されることはありません。何がいつ起きたかを、相談の前に自分で見返すための道具です。

きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。

よくある質問

モラハラでも、DVの相談窓口に相談してよいですか?

内閣府は、大声でどなる、生活費を渡さない、何を言っても無視するといった「精神的なもの」を、配偶者からの暴力の形として挙げ、相談の対象となり得るものだと説明しています。当てはまるかを自分で決めてから連絡する必要はありません。起きたことと、いま不安なことをそのまま伝えてください。

DV相談ナビ(#8008)はどこにつながりますか?

内閣府の案内では、#8008 に電話すると最寄りの都道府県の配偶者暴力相談支援センターにつながります。一般の固定電話と同じ通話料がかかり、相談は各機関の受付時間内に限られます。つながらないときは、都道府県や市町村のセンターに直接電話できます。

電話で話すのが難しいときは、どうすればいいですか?

DV相談+には、12時から22時までのチャット相談と、24時間受け付けている「プラス相談箱」があります。プラス相談箱は、入力したメールアドレスにやり取りをするページのURLが届く仕組みです。相手に見られないアドレスを使えるか考えてから利用してください。

相手にスマホを見られるかもしれません。

記録や相談履歴が見つかることで危険が増えると感じるなら、無理に残さないでください。相談先に端末の不安を伝え、安全な連絡方法を一緒に考えてもらえます。アプリのロックは、端末のパスコードを知っている人には開けられるため、安全を保証するものではありません。

法テラスは無料で相談できますか?

DV等被害者法律相談援助は、DVを受けている人や受けるおそれがある人なら資力に関わらず利用でき、資産が一定の基準(300万円)以下なら相談は無料です。基準を超える場合は、相談時間60分未満で5,500円、60分以上で11,000円の相談料がかかります。経済的に困っている人向けの無料法律相談(民事法律扶助)もあり、条件は公式案内で確認できます。

出典・参考

モラハラはどこに相談する?安全を優先した相談先の選び方のイメージ

きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。