「モラハラはどのくらい起きているのか」と検索すると、DV相談や職場の嫌がらせの数字が出てきます。ただ、その数字を全てモラハラの件数として扱うと、実態を読み違えてしまいます。
この記事の要点
- 令和6年度の配偶者暴力相談支援センターの相談件数は12万7,796件でした
- これはDVに関する相談全体で、モラハラだけの件数ではありません
- 同じ資料の実人員は7万4,640人で、相談件数とは別の指標です
- 自分の困りごとは統計の多寡で判断せず、安全に残せる範囲で記録します
目次(6項目)
12万7,796件は、DV相談全体の集計
内閣府が公表した令和6年度の配偶者暴力相談支援センターにおける相談件数は、127,796件です。対象期間は2024年4月1日~2025年3月31日、全国317か所のセンターの集計で、資料は2025年12月26日付です。
この総数はモラハラや精神的な暴力だけを切り出した数字ではありません。家庭やパートナーとの関係で起きる困りごとを考える参考にはなりますが、「日本で一年間に起きたモラハラが127,796件」とは読めません。
相談件数と人数を分けて見る
同じ資料の項目 | 令和6年度の値 | 読み方 |
|---|---|---|
相談件数 | 127,796件 | センターに寄せられた相談の件数 |
実人員 | 74,640人 | 資料で別に集計された人数の指標 |
二つは数えているものが違います。複数回の相談を、一人ずつの新たな被害者数や事件数へ置き換えることはできません。実人員も、全国の被害者すべてを数えた数字ではありません。相談していない人の経験は、この窓口の相談実績からは分からないためです。
同じ資料には別の窓口「DV相談プラス」の実績も掲載されていますが、単純に足して全国の被害者数を出すことはできません。窓口が違えば、利用者が重なる可能性を確認する必要があります。
「モラハラ件数」を探すときに確認したいこと
- 家庭・パートナーの話か、職場の話か。
- 心理的な言動だけか、身体的・性的な暴力なども含む集計か。
- 相談を受けた数か、調査で経験を答えた人の割合か。
- 同じ人の複数回答や、複数の相談をどう数えているか。
この記事で確認した集計から、日常語としての「モラハラ」の全国総件数を確定することはできません。数字が大きいから深刻、小さいから我慢できる、という使い方もしないでください。
数を数える前に、自分が困っている一場面を言葉にする
相談の入口になるのは、社会全体の件数よりも、自分に何が起きているかです。たとえば「毎日つらい」を無理に回数へ変えず、覚えている一場面を残します。
架空例:「9月6日の夕食後、買い物について説明を求められた。説明を始めると話を遮られ、同じ質問が続いた。終わった時刻は覚えていない。翌日も買い物に出ることをためらった」。ここでは、相手を診断する言葉や、確認できない回数を足していません。
生活費のやり取りなら、自分が把握している支出・依頼・返答を別に残せます。ただし、記録のために危険なやり取りを増やしたり、相手の端末に無断でアクセスしたりする必要はありません。
きろくねを使うときも、記録を見られる可能性を先に考える
自分で使える端末で無理なく記録できる場合、きろくねのメモに言われたことと自分への影響を分けて残し、同じケースのタイムラインで振り返れます。メモ・写真・録音のうち、そのとき残せる方法を選べます。
ただし、端末内保存だけで、相手に発見されないと保証されるわけではありません。端末を確認されるなどの不安があれば、アプリ導入や資料集めを急がず、安全を優先した相談先の選び方を確認してください。記録できる状況の方はiPhone版きろくねを利用できます。
具体的な書き方はモラハラを相談するときの記録でも紹介しています。出典確認日:2026年9月9日。統計の対象年度は令和6年度です。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 12万7,796件すべてがモラハラの相談ですか?
いいえ。配偶者暴力相談支援センターで受けたDV相談全体の件数です。精神的な暴力だけの件数や、モラハラと認定された件数ではありません。
- 相談件数を被害者の人数と考えてよいですか?
同じ指標ではありません。資料は相談件数と実人員を別々に示しています。また、窓口の実績だけで、相談していない人も含めた全国の被害者数は分かりません。
- 相談が少ない地域なら、気にしすぎなのでしょうか?
地域の相談件数は、あなたの経験を否定する根拠にはなりません。人口や窓口の利用状況なども異なります。具体的に困っていることを、話せる範囲で相談してください。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。