布団に入ってから、昼間に言われた一言が何度も戻ってくる。言い返せなかった場面を、頭の中で何度もやり直してしまう。そういう夜があります。
この記事の要点
- 嫌な言葉を何度も思い出してしまうのは、珍しいことではありません。
- 言われた言葉を、日時と場所と一緒に一度だけそのまま書き、それ以上は書き足しません。
- 「言われたこと」と「自分の受け取り方」を分けておくと、翌日以降に落ち着いて見直せます。
- 書いたら閉じて、その夜は見返さなくて大丈夫です。つらさが続くときは相談先を頼れます。
目次(10項目)
この記事は、その言葉を忘れるための方法ではありません。一度だけ外に出して、今夜はそこに置いておくための、小さな手順です。
結論:言葉をそのまま一度だけ書いて、閉じる
手順は三つです。
- 言われた言葉を、日時と場所と一緒に、そのまま一度だけ書く
- 「言われたこと」と「自分の受け取り方」を分ける
- 書いたら閉じて、その夜は見返さない
書き出したからといって、すぐに楽になるとは限りません。それでも、頭の中にしかなかった言葉が一か所に置かれると、忘れないように握りしめておく必要は少し減ります。
何度も思い出すのは、おかしなことではない
強い言葉を向けられたあと、その場面が繰り返し浮かんでくるのは、誰にでも起こりうることです。思い出すたびに「気にしすぎだ」と自分を責めなくて大丈夫です。
ただ、眠れない日が続く、仕事に行くのがつらいといった状態が続くときは、書くことより先に、人に話すことを考えてください。この記事の後半に、相談できる場所を載せています。
手順1:言葉をそのまま、一度だけ書く
書くのは次の三つだけです。
- いつ:日付と、分かればおおよその時刻
- どこで:会議室、電話、チャットなど
- 言われた言葉:要約せず、覚えているままに。あいまいな部分は「このような趣旨」と添えます
ここで大事なのは、それ以上は書かないことです。状況を長く説明したり、言い返したかった言葉を書き連ねたりしていると、書いているあいだに場面をもう一度くぐることになります。今夜は、言葉を置くだけで十分です。うまく書けないときは三行だけの残し方も参考になります。
手順2:言われたことと、自分の受け取り方を分ける
言われた言葉の横に、自分がどう受け取ったかを書く欄を分けます。次は編集部が作った架空の例です。
言われたこと(起きたこと) | 自分の受け取り方 |
|---|---|
10月9日の夕方、打ち合わせで「こんなこともできないの」と言われた | もう仕事を任せてもらえないと思われている |
ほかに二人がいる場で言われた | みんなにも、できない人だと思われた |
右の列は、今夜の自分の感じ方として正直に書いて構いません。そのうえで、右の列は翌日以降に見直してよいものだと決めておきます。左の列は、起きたこととしてそのまま残します。分けておくと、あとで読んだときに、何が起きたかと、どう感じたかを取り違えずに済みます。
周りから「気にしすぎ」と言われて自分の記憶を疑ってしまうときは、「気にしすぎ」と言われたとき、記録が助けになることもあわせて読んでみてください。
手順3:書いたら閉じる
- メモを閉じて、スマートフォンの通知を切る
- その夜は見返さない
- 見返すかどうか、いつ見返すかは、あとで自分で決める
書いたものを読み返さないのは、逃げではありません。残すことと見返すことは、別の作業です(読み返すのがつらい日は、閉じてしまっていい)。それがパワハラなのか、ただの言い方の問題なのか、名前を付けることも今夜しなくて大丈夫です(名前をつけないまま、置いておく)。
見直すなら、明るい時間に
見返すと決めた日は、夜ではなく、少し気持ちに余裕のある時間を選びます。右の列を読んで、「ほかの受け取り方はあるか」「今もそう感じるか」を考えてみます。変わらなければ、そのままで構いません。
似た言葉を何日も続けて書いていると気づいたら、それは一晩の出来事ではなく、続いている出来事なのかもしれません。日付の並んだメモは、職場の相談窓口に経緯を話すときの手がかりにもなります。
書くことが合わない夜もある
書き出すと、かえって場面がはっきりしてつらくなる人もいます。書き始めて苦しくなったら、途中でやめて構いません。日付と「言われたことがある」とだけ書いて閉じる、という残し方もあります。今夜書かなくても、落ち着いた日に、思い出せる範囲で書くことができます。
つらさが続くときは
一人で抱えきれないと感じたら、話せる場所があります。厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」は、働く人やその家族などからの相談を、電話・SNS・メールで受け付けていて、匿名・無料で利用できます。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、悩みを抱えたときの電話やSNSの相談窓口が紹介されています。職場での出来事そのものについては、職場のハラスメントに関する外部の相談窓口も案内されています。
きろくねで残すなら
きろくねのメモには、「何があったか(そのままの言葉で)」と「そのときの気持ち」を分けて書ける欄があります。ケースを選ばずに保存しても、日時付きの「未整理」として残るので、夜は保存だけして、整理は別の日にできます。振り返りのリマインダーは使うかどうかを自分で選べて、いつでも止められます。記録は端末の中に保存され、Face ID やパスコードでロックできます。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 書き出すと、かえって思い出してしまいませんか?
そう感じる人もいます。書くのは一度だけ、項目は日時・場所・言われた言葉の三つだけと決めておくと、場面をくぐり直す時間を短くできます。書いていて苦しくなったら、途中でやめて構いません。
- 言われた言葉を、正確に覚えていません。
覚えている範囲で構いません。あいまいな部分は「このような趣旨」と添え、覚えていないところは「不明」と書きます。埋めようとして言葉を足すより、その方があとで読み返したときに分かりやすくなります。
- 毎晩のように思い出してしまいます。
眠れない日が続くなど、つらさが続くときは、書くことより先に人に話すことを考えてください。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人やその家族などが、電話・SNS・メールで匿名・無料で相談できます。
- 書いたメモは、あとで何かに使えますか?
使うかどうかは、あとで決めて構いません。日付と言葉が残っていれば、職場の相談窓口などに経緯を話すときの手がかりになることもあります。今夜は、置いておくだけで十分です。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。