パワハラの相談は、労働基準監督署内などにある「総合労働相談コーナー」が受け付けています。厚生労働省のリーフレット「労働基準監督署の役割」では、職場のいじめ・嫌がらせのように労働基準関係法令以外の相談は、都道府県労働局や労働基準監督署などに設置された総合労働相談コーナーで受け付けると案内されています。労働基準監督署(労基署)そのものは、労働基準法などにもとづいて、法定労働条件の相談や違反についての申告を受け、事業場を監督する機関で、労災保険の給付も担当しています。この記事では、厚生労働省の資料で確かめた三つの窓口の役割の違いと、相談の前に整理しておきたいことをまとめます。
この記事の要点
- パワハラの相談は、労働基準監督署内などにある総合労働相談コーナーが受け付けています。厚生労働省のリーフレットでは、職場のいじめ・嫌がらせなど労働基準関係法令以外の相談は、このコーナーで受け付けるとされています。
- 労働基準監督署そのものは、労働基準法などにもとづいて法定労働条件の相談や違反の申告を受け、事業場を監督する機関で、労災保険の給付も担当しています。
- パワハラについては、都道府県労働局長による助言・指導や調停の制度があり、雇用環境・均等部(室)や総合労働相談コーナーが相談先として案内されています。
- 残業代の未払いや長時間労働、仕事が原因の心身の不調(労災)が一緒にあるときは、労基署が担当する部分があります。
- 資料がそろっていなくても、日時・場所・言われたこと・相手・見ていた人を整理して相談を始められます。
目次(6項目)
結論:パワハラの相談は「総合労働相談コーナー」から
総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内など378か所に設置されています。厚生労働省の案内では、いじめ・嫌がらせ、パワハラを含むあらゆる分野の労働問題を対象に、専門の相談員が面談または電話で対応し、予約不要・無料で利用できるとされています。労働基準法などに違反する疑いがある場合は、労働基準監督署など行政指導の権限を持つ部署に取り次ぐ、とも書かれています。
そのため、パワハラと残業代の問題が一緒にあるような場合も、まず総合労働相談コーナーで話し、担当が分かれるところは案内を受ける、という進め方ができます。
三つの窓口の役割の違い
窓口 | 主に扱うこと(厚生労働省の案内) | パワハラとの関係 |
|---|---|---|
総合労働相談コーナー | いじめ・嫌がらせ、パワハラを含む労働問題の相談と情報提供。助言・指導やあっせんの案内 | 最初の相談先。労働基準法などの違反の疑いがあれば、労基署など権限のある部署に取り次がれる |
労働基準監督署 | 法定労働条件の相談、労働基準法などの違反について行政指導を求める申告の受付、監督指導。労災保険の給付 | 残業代の未払いや長時間労働、仕事が原因の心身の不調(労災)が一緒にあるとき |
都道府県労働局 雇用環境・均等部(室) | パワハラについて、都道府県労働局長による助言・指導や、調停による紛争解決の援助 | 会社に相談しても対応してもらえなかったときの相談先として案内されている |
厚生労働省のハラスメント対策のページでは、まず会社の相談窓口に相談し、会社に相談しても対応してもらえなかったら雇用環境・均等部(室)へ、という順番が示されています。同じページでは、社外で相談したいときの窓口として総合労働相談コーナーも案内されています。総合労働相談コーナーでは、ほかの窓口が担当する内容は取り次ぎや情報提供を受けられるとされているので、迷ったときはここから始められます。
労基署が担当になりやすい「一緒に起きていること」
厚生労働省のFAQでは、労働基準監督官は労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法などにもとづき、定期的に、あるいは労働者からの賃金不払いや解雇などの相談をきっかけに事業場を監督し、法律違反があれば改善を求めると説明されています。パワハラと一緒に、次のようなことが起きていないかを見ておくと、相談の場で伝えやすくなります。
- 残業代が払われていない、長時間労働が続いている:勤怠の記録、給与明細、自分で控えた始業・終業の時刻。
- 予告なく解雇を告げられた:「労働基準監督署の役割」では、解雇するときは30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払う必要があると説明されています。告げられた日時、相手、書面の有無を残します。
- 仕事が原因で心身の不調が出た:労基署の労災課は、請求を受けて関係者からの聴き取りなどの調査を行い、労災保険の給付を行うとされています。あかるい職場応援団は、職場のハラスメントによる強いストレスでうつ病などの精神障害を発症した場合、認定条件を満たせば労災補償の対象となることがあると案内しています。
労働基準法第104条は、事業場に法律違反の事実がある場合、労働者はそれを労働基準監督署などに申告できるとし、申告したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。相談だけにするか、申告して監督指導を求めるかで、その後の進み方は変わります。どちらにするかを決める前に、窓口で違いを尋ねられます。
始業・終業の時刻を手元に残した経過は長時間労働を記録に残すまで、体調の変化の残し方はパワハラで体調がつらいときの記録にあります。
相談の前に整理しておくこと
パワハラの資料がそろっていなくても、相談は始められます。あかるい職場応援団の案内では、総合労働相談コーナーに相談するとき、事実関係を整理しやすいよう、次のようなことを持っていくとよいとされています。
- ハラスメントだと感じたことが起こった日時
- どこで起こったのか
- どのようなことを言われたのか、強要されたのか
- 誰に言われたのか、強要されたのか
- そのとき、誰が見ていたか
これに加えて、「今回いちばん知りたいこと」(社内での相談の進め方、残業代のこと、休むことなど)を一行で書いておくと、担当が分かれる場合も話を進めやすくなります。会社に知られることが不安なときは、そのことを最初に伝え、どの段階で会社に連絡が行くのかを確かめてください。電話での切り出し方や1ページのメモの例は労働局にパワハラを相談するとき、会社への連絡や法テラスとの違いは総合労働相談コーナーにパワハラを相談すると?にまとめています。録音がないときの資料の並べ方は録音以外に残せる資料の整理が参考になります。
きろくねで残すなら
きろくねでは、出来事のメモ、録音、写真を一つのケースに時系列で並べられます。メモは「いつのこと」で出来事の日時を選べ、「何があったか」と「そのときの気持ち」を分けて書けます。パワハラの出来事と、残業や体調のメモを同じケースに並べておくと、相談の場で日付順に説明しやすくなります。
記録は端末の中に保存され、アプリ独自のクラウド同期はありません。iPhoneのバックアップ(iCloud・パソコン)を有効にしていれば、記録もバックアップに含まれます。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- 労働基準監督署はパワハラを扱わないのですか?
厚生労働省のリーフレット「労働基準監督署の役割」では、職場のいじめ・嫌がらせなど労働基準関係法令以外の相談は、労働局や労働基準監督署などに設置された総合労働相談コーナーで受け付けると案内されています。残業代の未払いなど労働基準法などの違反が一緒にある場合は、労基署が担当する部分もあります。まず総合労働相談コーナーに電話して相談方法を確かめると進めやすくなります。
- 労基署に相談すると、会社に知られますか?
相談するだけなのか、違反について行政指導を求める申告をするのかで、その後の進み方が変わります。会社への連絡が不安なことを最初に伝え、どの段階で何が会社に伝わるのかを確かめてください。労働基準法では、申告したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いが禁じられています(第104条第2項)。
- パワハラの証拠がないと、相談できませんか?
相談はできます。あかるい職場応援団は、日時・場所・言われたこと・相手・見ていた人を整理して持っていくとよいと案内しています。手元に資料がなくても、分かる範囲のメモと、資料がないという事実をそのまま伝えて始められます。
- パワハラで体調を崩したとき、労災の請求はどこにしますか?
労災保険の給付は、労働基準監督署の労災課が請求を受け、必要な調査を行ったうえで行うと案内されています。職場のハラスメントによる精神障害が対象になるのは、認定条件を満たした場合です。請求の方法は労基署に確かめてください。心身のつらさが強いときは、手続より受診や休養を優先してください。
出典・参考
- 厚生労働省 リーフレット「労働基準監督署の役割」(2026-10-06 確認)
- 厚生労働省 労働基準情報FAQ「労働基準監督制度の概要について教えてください。」(2026-10-06 確認)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(2026-10-06 確認)
- 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」(2026-10-06 確認)
- 厚生労働省 リーフレット(詳細版)「2020年(令和2年)6月1日から、職場におけるハラスメント防止対策が強化されました!」(2026-10-06 確認)
- あかるい職場応援団(厚生労働省)「相談窓口のご案内」(2026-10-06 確認)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(第104条)(2026-10-06 確認)
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。